「着圧ソックスを履くと、トイレが近い気がする…」この感覚は、偶然ではないんですね。「病気」「体の異常」ではないので、安心してもらって大丈夫です。
この記事では、
・リンパ液の流れと尿意との関係
・着圧ソックスを履くとトイレが近い理由
などを解説します。
今回の記事の内容
リンパ液の流れと尿意との関係
結論を言えば、
着圧ソックスを履くことで、リンパ液の循環が改善されてトイレが近いと感じる
ということです。
最初に、
・リンパ液はどのように体内を循環しているか
・尿意を感じる理由
などが理解できるとわかりやすいので、まずはここから解説していきますね。
血液とリンパ液
体内には「血液」や「リンパ液」などの体液が循環しており、両者は元々同じ体液です。
血液は心臓の拍動によって身体の末端まで送られる仕組みになっていますが、心臓から送り出された動脈を通る血液には、
・酸素
・栄養素
などが豊富に含まれているんですね。それらを血液に乗せて末端の血管(毛細血管など)に運びます。
そして末端にたどり着いた血液は、そこで細胞に、
・酸素や栄養素などを渡す
・二酸化炭素や老廃物を回収する
などを行い、静脈を通って再度心臓に帰っていきます。
ここでポイントなのは血液が末端にたどり着いたとき、毛細血管から約1割ほどの血液が血管から浸み出してしまい、「間質」と言われる空間に出てしまうんですね。
水の通るホースから水がぽたぽた染み出るみたいな感覚です。
血管から染み出してきた血液は、血管を通るときに濾過される形で赤血球が取り除かれます。
そして赤血球が取り除かれ、間質という空間に入ってきた血液のことを「間質液」というんですね。
この間質という空間には「リンパ管」という管につながる箇所があり、この管に入っていく間質液のことを「リンパ液」といいます。
リンパ液は、元々血液だったということですね。
リンパ液は鎖骨下で静脈に入る
上記ではリンパ液と血液の関係を解説しましたが、この「リンパ液」は血液と同様に全身に流れています。
血液はいろんな方向に循環する一方、
リンパ液は下から上の一方通行で流れている
のが基本。
またリンパ液は流れが非常に遅く、体内を1周するのに約8~12時間かかるともいわれているんですね。
リンパ液は重力がかかる環境下や身体が少しでも圧迫されるとむくむのは、循環速度が遅いからです。
流れの遅いリンパ液は下から上に循環して、最終的には「鎖骨下リンパ節」という鎖骨の溝に入っていきます。
この鎖骨下リンパ節は「静脈」という血管とつながっているため、ここに入ったリンパ液は再び血液の中に入り込んでいきます。
ここからの流れが、今回お伝えしたい着圧ソックスとトイレの近さに関係するところですね。
血液は濃度を一定に保つ働きがある
鎖骨下リンパ節から静脈に合流するリンパ液は、ある一定量が自然であり、その状態を保っていれば問題ありません。
ただ、その一定量を超えてリンパ液が静脈に合流してしまうと、血液が薄まります。
ここでポイントになるのが、
血液は濃度を一定に保とうとする働きがある
ということです。
何かしらの理由でリンパ液の循環が促されて血液の濃度が薄まってしまうと、脳が「血液の濃度が薄い…」と感知し、余分な水分を体外に出そうとする反応を起こすんですね。
そこで起こるのが“尿意”です。
つまり、リンパ液の循環を促すようなことをすると、結果的にトイレが近いと感じるわけです。
血液に含まれる余分な水分をおしっことして排出すると、血液濃度は本来の状態に保つことができるため、汗をかかないときにはこのように調節をします。
これが今回お伝えしたい着圧ソックスとトイレの近さに関係しているわけです。
着圧ソックスを履くとトイレが近いと感じる理由
ここまでは少し難しく感じたかもしれませんが、着圧ソックスを履くとトイレが近いと感じる理由をもう少しわかりやすく解説しますね。
着圧ソックスを履く=トイレが近くなる、ではない
着圧ソックスを履くと“利尿作用がある”と言われることもありますが、着圧ソックスを“履くだけ”では、そこまで効果は期待できないと思います。
ポイントになるのが、着圧ソックスを履いた状態で、
・仰向けになる
・身体を適度に動かす
などをすることなんですね。
先ほど、
リンパ液は、下から上の一方通行で流れている
とお伝えしました。
着圧ソックスを履いた状態で仰向けになることで、重力から解放された中で呼吸を行うことになります。そうすると、
・リンパ液の循環が改善しやすくなる
・呼吸によってポンプ作用が働き、よりリンパ液の循環が加速する
・着圧ソックスを履くことで、下半身にリンパ液が滞りづらくなる
・その結果、静脈に入るリンパ液の量が増えてトイレが近くなる
このような変化が体内で起こる可能性があります。
だから、着圧ソックスを履くことでトイレが近く感じたり、夜履いて寝た方は夜中にトイレに行くことがあるかもしれません。
また日中に着圧ソックスを履いている方の場合は、身体を動かしていることが関与している可能性があります。
下半身の筋肉のポンプ作用が活用される
着圧ソックスを履いた状態で何気なく歩いたり、動いたりすると、適度に下半身の筋肉が収縮-弛緩(伸び縮み)します。
そうすると、
・筋肉のポンプ作用で、リンパ液が押し上げられる
・着圧ソックスを履くことで、下半身にリンパ液が滞りづらくなる
・普段よりも静脈に入るリンパ液の量が多くなる
・その結果、トイレが近く感じることがある
このような変化が生まれる可能性があります。
これらが、主に着圧ソックスを履くことで発生する「トイレが近い」と感じる理由です。
この他にも理由は考えられると思いますが、考え方としてはこの2つが代表ですね。
着圧ソックスを履くとトイレが近いと感じる理由のまとめ
今回は、着圧ソックスを履くことでトイレが近いと感じる理由について解説しました。
・血管から浸み出した血液は間質という空間に入る
・そして間質にあるリンパ管に入ることでリンパ液になる
・リンパ液は鎖骨下リンパ節から静脈に入り、血流に合流する
・血液は濃度を一定に保とうすると働きがある
・静脈に入ってきたリンパ液が多いと血液が薄まる
・そのとき、尿意を感じさせて水分を排出しようとする反応が起こる
・着圧ソックスを履いて寝たり動くとリンパ液の循環がよくなる
・結果、着圧ソックスを履くとトイレが近いと感じている可能性
着圧ソックスを履いてトイレが近くなると不安もあるかもしれませんが、安心してください。特に大きな問題ではないですし、むくみで悩む方にはプラスの効果になっています。
ちなみに、着圧ソックスの効果的な着用方法としては、
・脚のむくみを改善する
・その後に着圧ソックスを履く
・コップ1杯分の水を飲んで寝る
この流れをお風呂上りや寝る前に実践すると、翌朝のスッキリ感が全然違ってきます。
ぜひ騙されたと思ってやってみてください。めちゃくちゃおすすめです。
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